ChatGPTを用いてジャズライブのセットリストを構築するタスクを実証した結果、非常に実態に即した回答が返ってきました。
もしセットリストを考えるのに苦労されている方がいらっしゃれば、この記事が参考になれば幸いです。
なお、ここでご提示するのは具体的な曲名ではなく、「こんな雰囲気の曲をこんな順番で組み合わせる」という枠組みです。
ジャズライブのセットリスト頻出パターン
経験則ですが、ジャズライブのセットリストは2つのセット(ステージ)から成り立ち、それぞれのセットで5曲程度が演奏されるパターンが多いです。
一旦、これをセットリスト作成の目安として進めていきます。
ChatGPTへプロンプトを入力する
まずはChatGPTへプロンプト(指示)を入力します。これがAI活用のミソだと思いますが、プロンプトが曖昧だと思ったような回答が返ってこないので、具体的な内容を記述します。
参考にしたのは深津式プロンプト・システム(44:00~)。note社の深津貴之さんによって考案されたフレームワークで、非常に汎用性の高いプロンプトのフォーマットです。
プロンプト
#命令書
あなたはジャズミュージシャンです。
以下の条件を守りながら、セットリストを作る際の曲の基準を作ってください。
#条件
・曲名ではなく、「どのような雰囲気の曲を選ぶべきか」と言う方針を回答してください。
・メンバー構成は、ピアノ、ベース、ドラムのトリオです。
・1stセット、2ndセットの2部制で、それぞれ5曲ずつ。
・それぞれの部で曲が被らないようにしてください。
ChatGPTの回答
実態としてよくあるセットリストの構成が出てきました!定型フォーマットとしては十分機能しそうです。
以下、ChatGPTの回答です。
了解しました。雰囲気やスタイルに注目してセットリストを組み立てる方針でセットリストを提案します。
1st セットの基準
アップビートなスウィング
セットの始まりに、軽快なスウィングナンバーを選びます。リラックスしたムードで聴衆を引き込みつつ、リズム感を高めます。
メロウなバラード
2曲目では、メロウなバラードを選びます。ピアノの優美な旋律とベースのウォームな音色が心に響くような雰囲気を作ります。
モーダルな探求
3曲目は、モーダルジャズの影響を持つ曲を選びます。即興演奏に重点を置きながら、抽象的な雰囲気を楽しませます。
リズミカルなラテン
4曲目は、ラテンリズムを取り入れた楽曲を選びます。ドラムとベースのリズムが目立ちつつ、ピアノが独自のアクセントを加えます。
エネルギッシュなスウィング
1stセットの最後に、エネルギッシュなスウィングナンバーを選びます。聴衆を活気づけながら、セットを締めくくります。
2nd セットの基準
モダンな実験
2ndセットのスタートは、モダンな要素を持つ曲を選びます。複雑なリズムや和音進行で、ジャズの進化を感じさせます。
ワルツの風情
2曲目では、ワルツのリズムを持つ曲を選びます。ゆったりとしたテンポで、聴衆を穏やかな気分に誘います。
感情豊かなバラード
3曲目は、感情豊かなバラードを選びます。ピアノの旋律が心に沁みるような演奏を披露します。
ビバップの興奮
4曲目では、ビバップの要素を持つ曲を選びます。アップテンポでアグレッシブなソロが光る、興奮溢れる演奏を行います。
フィナーレのグルーヴ
セットの最後に、グルーヴ感ある曲を選びます。ピアノ、ベース、ドラムが一体となって、聴衆を余韻に浸らせます。
これらの基準に従って、1stセットと2ndセットのそれぞれに特徴的な雰囲気とスタイルを持つ曲を選ぶことで、聴衆に多様な音楽体験を提供する素晴らしいセットリストが構築できるでしょう。
この構成にハマる曲を選べば、それなりのセットリストが仕上がりそうです。
同じプロンプトでも回答が変わる
ちなみに、再度プロンプトを投げかけると異なる回答が返ってきました(これはChatGPTの特性上、起こり得ることです)。
プロンプトを何回か投げかけていると、思いがけない構成アイディアが得られるかも。
プロンプト(再掲)
#命令書
あなたはジャズミュージシャンです。
以下の条件を守りながら、セットリストを作る際の曲の基準を作ってください。
#条件
・曲名ではなく、「どのような雰囲気の曲を選ぶべきか」と言う方針を回答してください。
・メンバー構成は、ピアノ、ベース、ドラムのトリオです。
・1stセット、2ndセットの2部制で、それぞれ5曲ずつ。
・それぞれの部で曲が被らないようにしてください。
まとめ
ChatGPTが出力した、ジャズライブのセットリスト構成案の大枠を再掲します。
1st セットの基準
- アップビートなスウィング
- メロウなバラード
- モーダルな探求
- リズミカルなラテン
- エネルギッシュなスウィング
2nd セットの基準
- モダンな実験
- ウォルツの風情
- 感情豊かなバラード
- ビバップの興奮
- フィナーレのグルーヴ
もちろんこれを厳密に守る必要はなく、セットリストの構成や曲は状況に応じて柔軟につくられるものだと思います。ただ、このようなAIに補助してもらうことで、人間の負担を軽減できる点は大いに助かります。
X(@mtdjazzpiano)でも投稿しました。
セットリストの組み方をChatGPTにアドバイスしてもらった。ジャズライブによくある1st,2nd制のパターンで。具体的な曲名ではなく、方針を答えてもらう形。 pic.twitter.com/zCyiT0OtKv
— まつだ|Jazz Piano (@mtdjazzpiano) August 18, 2023
今回のテーマは「ジャズライブのセットリストを構成する」でしたが、他にもChatGPTを活かせるジャズ活動があると思うので、模索して記事にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました!