プロのジャズミュージシャンの中には、音楽学校を出ていない方も多く活躍されています。
例えば大学のジャズ研究会、通称ジャズ研の出身者。
“研究会”と聞くと、教育的な団体を想像されるかもしれません。実際には、その実態は少し異なります。
この記事では、私も所属していたジャズ研の内情についてフォーカスしてみます。
ジャズ研究会の本当の姿とは?
その名前からして、ジャズの研究に取り組む場と思われるかもしれませんが、実際はそうシビアな場所じゃありません。
私自身も学生時代、ジャズ研に所属していましたが、研究というよりもサークル的な要素が強い印象です。
定期的に演奏会を行う一方で、飲み会やイベントも盛ん。飲み会だけ参加する部員も多いです。本当に、よくある音楽サークルの一つ。「研究」っぽいこともしていません。
演奏会に出るために部内オーディションを催すジャズ研もあるようですが、私の所属していたジャズ研ではそういう選抜的なイベントはなく、ゆるっとした雰囲気。
なので、教育プログラムや体系的な学びは存在しておらず、初心者への指導も限られています。先輩も経験豊富な人が多いわけではないので、一定の自助努力が求められます。
自助努力の重要性
専門的な音楽教育以外の環境はそれなりにある。というのが、私のジャズ研のイメージです。
例えば、以下の状況は、おそらくどこのジャズ研でも揃っていると思われます。
- 定期的にライブやセッションの機会がある
- 音楽練習場などの練習場所がある
- 自分と同じ初心者のメンバーがいる
これは確かに恵まれた環境なんですけど、やはり重要なのはジャズをどう追求するか。ジャズの魅力は、その自由な音楽表現と即興演奏にあると思っていますが、これを適切な指導なしに習得しようと思うと相当な自助努力が必要です。
先ほど言ったように、ジャズ研は先輩からのレクチャーがあるものの、上質で継続的な指導は期待できません。もし勉強したいなら、自分で楽曲を分析し、コピーし、練習することが不可欠です。
なので、その辺りの熱量をどう高めるか、自分の燃料源となってくれる人がいるか(身近な先輩からジャズレジェンドまで)が重要になってきます。
ジャズの魅力とパワー
ジャズ演奏は挫折する人も多いですが、一つハードルを超えると、好きになる人はとことん好きになっていきます。初めてジャズに触れた人でも、その深い表現力や即興演奏の楽しさに引き込まれることは珍しくありません。
中にはプロ並みに上達する人も多く、そんな人とセッションできる環境があり、皆が上達していく。運良くメンバーに恵まれれば好きこそ物の上手なれが具現化される環境に醸成されていきます。
J-POPばかり聴いてたのに、ジャズしか聴かなくなったというのはよくある話。そして、卒業後のみならず就職後も脱サラしてプロのジャズミュージシャンに転向する人もいます。
ジャズ界隈は決して大きくない市場と思いますが、音大で専門教育を受けてきたライバルとパイを奪い合う。人にとっては、そんな厳しい環境でも仕事にしたい!と思わせるほどジャズの魅力は凄まじいものだと思います。