ジャズが”スタンダード化”される条件

ジャズの「スタンダード」って何でしょうか?

標準?基礎?

その辺りを掘り下げてみます。

目次

1.ジャズは「曲の音楽」ではなく「人の音楽」

例えばスタンダード曲の1つ、”You’d Be So Nice To Come Home To”

原曲を聴いて知ったという方はなかなかいないんじゃないでしょうか。ミュージシャンがカバーしているのを聴いて知るパターンが多いと思います。ヘレン・メリルやアート・ペッパーなど。

このように、スタンダード曲の特徴は多くのミュージシャンに取り上げてもらっている点です。ジャズは「曲の音楽」ではなく「人の音楽」。「曲」が何かよりも「誰」が演奏するかに注目されやすいです。

2.メロディが良く、たくさん演奏される

どんなに有名なジャズスタンダード曲でも、最初からスタンダードにするつもりで作曲されていないはずです。

もともとは、映画の挿入歌やミュージカル音楽だったり、その時代の流行りのポップスだったりします。じゃあそれがどんなプロセスを辿ってジャズスタンダードに変身していくのか?

その条件が2つあります。

1つは、メロディが良いこと。言い換えると、リスナーウケしやすいことです。誰でも口ずさめて、耳に残りやすいこと。

もう1つは、ミュージシャンにたくさん演奏されること。どれだけ良い曲でも、誰かが演奏し続けないと歴史で引き継がれません。

つまり、リスナーとミュージシャンがコラボしていくことで、ジャズが”スタンダード”に変身していきます。

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たくさん演奏されるためには、演奏しやすい曲という点もポイントです。

これは諸説ありますが、原曲が良すぎたり複雑すぎるとミュージシャンに取り上げてもらえないので、実はシンプルな曲の方がスタンダード化されやすいんです。

必然的にジャズスタンダード曲の特徴は似通ってきて、メロディがシンプルで小節数や曲の構成も近いものが多くなっています。

3.現代曲が将来のスタンダードになるかも?

今のジャズスタンダードは60年以上前に作られた古い曲が多いです。一方で、前述したスタンダードになり得る条件を満たせば、現在流行ってる曲が将来のジャズスタンダードになるっていう可能性もあります。

個人的には、現代曲は複雑なものが多いのでスタンダード化するのは難しい印象を持ってます。もちろん、時代とともに形を変えるのもジャズの特徴なので、将来がどのようなスタンダード曲が形成されているのか全く読めません。

4.歴史を知るとジャズが面白くなる

私はジャズピアノをやっているんですが、どうしてもジャズとの関わり合いが奏法やテクニック中心になり、歌詞や歴史の勉強が後回しになりがちです。でも、曲の歌詞や成り立ちを調べると、より一層ジャズが面白くなってきますし、演奏にも良い影響があります。

歴史を知ると、ジャズスタンダード曲の見方が変わってジャズが面白くなってくるんですよね。

例えばお城好きの人の場合、子どもの頃は大阪城を見て何も思わなかったけど、歴史の勉強をしたら大阪城や他のお城、豊臣秀吉にも興味が湧いた、というような話があります。ジャズも同じで、歴史を知ると興味が湧いたり派生したり、より深く関わりたいと思うようになりました。

もし皆さんも、お気に入りのジャズスタンダード曲があれば歴史について調べて頂くと面白い発見があるかもれません。

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