ジャズにはどんな曲があり、どんなミュージシャンがいるのか全く知らなかったので、オムニバスCDを借りることから始めました。
オムニバスCDとは、複数のアーティストの音源をまとめたアルバムのこと。
こんな感じのやつ👇
今は検索すればすぐに曲が見つかる時代ですが、私が学生の頃はまだストリーミングサービスが普及しておらず、ひたすらTSUTAYAを往復する日々でした。
今までJ-popコーナーにしか足を運ばなかった自分が、初めてジャズコーナーに足を踏み入れ、知識もないまま「ジャズの名盤ベスト100」のような総集編CDを何枚か借りてみることに。
最初はどうしても演奏内容を理解できないので、わかりやすく耳に残る曲に惹かれました。例えば、Take FiveやMoanin’、Spainなど、キャッチーなリフが特徴的な曲。
ピアニストなら、Oscar Petersonの派手でハッピーなプレイスタイルがわかりやすくて、すぐ好きになりました。
Bill Evans Trioの『Waltz for Debby』は名盤の代表格として挙がっていたので、きっと素晴らしいんだろうなと期待して聴いたものの、当時はあまりピンと来ず…
インタープレイやハーモニーの知識があれば違っていたと思います。とりあえず「こういう世界もあるんだな」と、ピンと来ていないなりに、その雰囲気を味わうことにしました。
気に入ったミュージシャンや曲があれば、その関連アルバムを借りてみたり、レッスンの課題曲が入ったアルバムを探してみたり。お目当てのCDが見つからなければ、別の店舗をハシゴしたりもしました。
日本人のジャズピアニストも聴いてみようと思い、手に取ったのは上原ひろみさんのアルバム『Brain』。最初に聴いた曲が「Kung-Fu World Champion」。
…これは当時の自分には早すぎました。とりあえずジャズにもこんな表現方法があるのかと、面食らった記憶があります。
いろいろ数をこなして聴いていくうちに、アーティストごとの個性が少しずつわかるようになり、自分の好みがふんわりと形になっていくのを覚えています。
Wynton Kellyのスイング感や、Tommy Flanaganの端正なピアノは、比較的コピーしやすいことも相まって、特にお気に入りでした。
今では次々とたくさんの曲にアクセスできる時代ですが、自分で足を運び、偶然手に取ったCDから音楽の世界が広がっていく体験は貴重でした。