結局ジャズってなに?が解決する:読みやすいジャズ歴史書3選

「ジャズ」という言葉の捉え方は人それぞれで、ときおり定義をめぐって議論になることがあります。

ジャズが専門ではない音楽家がジャズアレンジなるものを披露すると、その道の人から「ジャズを名乗るな」と集中砲火を浴びる光景もたまに見かけます。

広い視野で考えるには、SNSなどネットの意見を拾うのではなく、歴史の流れを知るアプローチも有効と思います。

この記事では、文章が平易で読みやすいジャズの歴史書を3冊セレクトしました。「結局、ジャズってなに?」という疑問に一つの答えを与えてくれます。

ご興味あればぜひ入手してみてください。

目次

『新書で入門 ジャズの歴史』

新書で手軽に読めるジャズ入門書。

ジャズとは一体何か。アクセントのつけ方、リズムといった音楽的な形式で定義できる?なぜ極端にスタイルがかけ離れたものでも「ジャズ」にまとめられるのか。「そんなのジャズじゃない」と言う人がいつの時代も存在するのはなぜか。

歴史とともに姿形を変えてきたジャズについて、やさしい語り口で教えてくれます。最初の一冊にぴったり。

「即興演奏」でもだめ、「ノリ」でもだめということになれば、いったいなにを手がかりに、ジャズは「ジャズ」であると決められるのでしょう。 方法はひとつしかありません。外見がどれほど常識的に思い浮かぶジャズとかけはなれていたとしても、それがだれのどんな音楽に影響ないしは触発されて生まれたのか、さらにそのだれそれはそのまえのだれから……というふうに歴史をさかのぼっていって、いつかどこかで創成期のジャズ、一〇〇年まえのニューオリンズ・スタイルにたどりつけば、それは「ジャズ」なのです。つまり、ジャズの定義はそうした歴史とのからみでしか成立しないということです。

『新書で入門 ジャズの歴史』より

『Jazz It Up! マンガまるごとジャズ100年史』

マンガです。ドラッグ、売春、精神疾患…ジャズミュージシャンの歴史は負の要素がキツイけど、今に至る音楽スタイルの変遷史でもある。良い意味で作画の毒が強く、人物描写がユーモラスで飽きない。

ミュージシャン同士の関係性が時系列でビジュアル化されていて、ストーリーがすんなりと入ってくる。マンガの良いところですね。

これまでのジャズの読み物とは違い、ジャズをより身近なものにしてくれる。ジャズをこれから聴こうという人たち、ジャズを聴き始めて間もない人たちには格好の入門書であり、かなり詳しい人たちにとっても改めてジャズの楽しさを教えてくれる一冊だ。

『Jazz It Up! マンガまるごとジャズ100年史』より

『あなたの聴き方を変えるジャズ史』

雑誌「ジャズ・ジャパン」連載コーナーの書籍化。ジャズか、ジャズでないのか、の線引きに意味はあるのか。ジャズをジャズたらしめているものはいったい何なのか。

一生答えが出ないような問いについて、尚美学園大学でジャズ史の講義を持っている著者が授業してくれます。

第6章「ジャズって何?」の多角的な論考がおもしろい。そこに答えがある。

よりわかりやすい捉え方としては、ニューオーリンズから現代ジャズまでの「ジャズというファミリーの系図」の上にあるものがジャズだ、という定義が考えられます。(中略)この定義はなかなか便利ですが、では全く関係のないところから出てきた存在はジャズではない、ということにもなりかねません。まあことほど左様にジャズとは何かという話はややこしいのであります。

『あなたの聴き方を変えるジャズ史』より

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