すっかりジャズセッションでおなじみとなった『JAZZ STANDARD BIBLE』シリーズ(通称:黒本)
ただ、スタンダードと言いつつセッションであまりやらない曲もある。どんな曲が選曲されてるのか、色んな軸で眺めてみたらどうなるか。
今回はKey別の切り口で、黒本記載の全スタンダード曲(454曲)を見てみます。
① Keyの判断が難しい曲は適当なkeyに含む(特にWayne Shorterの曲)。
② 黒本2は改訂前の版を使用(2017年に改訂版が出ています)。
→①②が関係する曲が全体に占める割合はわずかのため、全体感への影響は軽微です。
454曲のKey分布
メジャーとマイナーに大別してから、曲数が多いkey順に並べています。
メジャー系ではF、E♭、C、B♭が王道で、それぞれ50曲以上。やはり♭系が上位ですね。セッションでもよくやるkeyです。
マイナー系ではDm、Cm、Fm、Gmが比較的多め。これもメジャー系と同じく♭系のkeyが上位です。
上位にある=セッションでコールされやすいkeyなので、ジャズメンは♭系に慣れてる人が多いですね。
なぜジャズスタンダードは♭系が多いのか?
モダンジャズでよく使う楽器が移調楽器であることが関係していて、例えばトランペット、サックス、クラリネットがそれに相当します。
自分は吹奏楽や管楽器の経験がないので詳しくないんですが、楽譜の「ド」を弾くと「シ♭」や「ミ♭」が出るような楽器。それに合わせて、ジャズの楽譜は♭系が多くなっています。
絶対音感を持つ人はよく混乱するらしい。自分も初めて知ったときはドがシ♭?状態でした。気になる方はWikiをご覧ください(丸投げすいません)。
移調楽器 – Wikipediaja.wikipedia.org
1曲しかないkeyは?(YouTube付)
1曲しかエントリーしていない曲も散見されます。どれも難曲過ぎてセッションではほとんどコールされないけど、こんな曲もあるんだと知っておくことは大事かと思います。美しい曲ばかり。
key:A La Fiesta/Chick Corea
E,Fコード繰り返しでアラビアンな雰囲気からサビで一転、key:Aに変わり一気に明るい曲調になる。
key:E Three Views Of A Secret/Jaco Pastorius
全音符主体のメロディで感動を生むジャコパスの名曲。
key:B Central Park West/John Coltrane
不思議なような美しいようなコルトレーンならではの曲。B-D-F-Abでできてる曲なので調性があってないようなものですが、Bとしました。
key:A♭m Cleopatra’s Dream/Bud Powell
ジャズを聴かない人でもメロディは馴染みやすいかも。めっちゃクレオパトラ感ある。
以上!なかなか興味深いです。また違う軸で分析してみます。