この記事では、ジャズの理論学習にオススメの書籍を5冊リストアップしています。
書店の音楽コーナーで、以下のようなタイトルに手を伸ばしそうになった経験はないでしょうか?
「すぐに使えるフレーズ100選!」
「3週間で弾けるジャズピアノ 」
世の中には玉石混淆の教則本があふれています。キャッチーなタイトルは魅力的ですが、内容の良し悪しはわかりません。
わたし自身、上達の手がかりを求めて多くの教則本に手を出し、ハズれを引きまくり、時間とお金を無駄にしてしまいました。
そんな経験もあり、ジャズ学習者が同じ道をたどらないよう「これだけ揃えばひとまず十分」という本をセレクトしてみました。
ピアノに限らず、サックスやベースなど、ジャズ演奏に関わる楽器共通で使えます。ご興味あればぜひ参考にしてみてください。
未熟だからこそ理論が有効
もしあなたがアマチュアの場合、「趣味レベルだし理論なんて必要ない」と思われるかもしれません。
ただ、理論はプロの専売特許ではなく、むしろ経験不足な人や贅沢な練習ができない人にこそ有効です。
この点について、社会心理学者の岡本浩一さんが著書『上達の法則』にて以下のように述べられています。
未熟だからこそ理論が必要
引用:『上達の法則』
まず、理論的思考を身につけることが、上達の道具となる面が大きい。効率をよくして上達しようという場合、相対的に少ない練習量、少ない経験量を有効に血肉にするということが大切となる。そのためには、自分の練習や経験、他者の練習や経験を深く理解することが有効となる。そのために、理論が有効なのである。
どこまで突き詰めるかは人それぞれですが、複雑なサウンドを要するジャズの場合、理論面がアドリブの巧拙に関わるのも事実。
個人的には、理論を勉強するほど耳コピがスムーズになり、アドリブで応用が効くようになりました。上達スピードも明らかに上がった実感があります。
おすすめジャズ理論書5選
前置きはこのぐらいにして、ここからはおすすめのジャズ理論書を5冊ご紹介します。
それぞれ販売サイトでも高評価レビューが多数です。ぜひレビューも参考にしてみてください。
『ザ・ジャズ・セオリー』
正直これ一冊で大抵のことは解決できます。ジャズ理論は網羅されており、ジャズを学ぶなら間違いなく手元に置いておきたい1冊。
470ページを超えるボリュームに圧倒されますが、偉大なジャズミュージシャンたちの演奏例が豊富で、徹底的にプレイヤー目線で解説してくれます。
日本語訳が独特で初心者には難しい箇所が多いかもしれませんが、上達して見返すたびに目から鱗の発見があります。
値段を見ると「高(たっか)!」と思われるかもしれません。でも何冊も本を買うより、しっかりした本を1冊持つ方がコスパ良いです。間違いなくお値段以上の価値あり。
『最新版ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』
ひとつ前の『ザ・ジャズ・セオリー』の著者が書いた、ピアニスト向けの教本。『ザ・ジャズ・セオリー』と重複する部分はありますが、よりピアノに特化した内容が勉強できます。
特に、ボイシングやリハモ、コンピング(バッキング)は具体的なミュージシャンの譜例が盛りだくさんで、かなり実践向けの技術が手に入ります。
『ジャズ・スタンダード・セオリー~名曲から学ぶジャズ理論のすべて』
ジャズスタンダードバイブル(黒本)の著者、納浩一さんの理論書。
セッションでよく演奏されるスタンダード曲を取り上げながら、CD付でイメージしやすく解説してくれます。図も豊富で表現が平易。レベルは初~中級者向け。
感覚だけでアドリブする世界から少し抜け出して、理論的に目標のコードに狙った音を着地させる…みたいなことができるようになると思います。
『ジャズ・スタンダード・アナライズ~名曲誕生の謎を紐解く』
20曲以上のジャズスタンダード曲について、メロディ・コードから楽曲の理論に留まらず感情面まで踏み込んで分析・説明。1曲ごとの分析の密度が濃い。
冒頭の“名曲は偶然生まれたのではない。成るべくして成るように作曲されたのだ”という言葉に納得。
セッションでよくコールされる曲が多く、それをベースに理論学習できるので取っ付きやすいです。個人的には、コスパに優れる隠れた名著と思っています。
『ベーシストのベーシストのリズム感向上メカニズム』
最後の1冊は少し色合いを変えて、リズムの本。ベーシスト向けと思いきや楽器関係なくピアニストにも役立ちます。
いくらカッコ良い曲でもリズム感がなくてダサくなる…と悩んでるときに口コミで買いました。
あいまいに語られがちなリズムやグルーブに対する考え方が言語化されていて、読んだらスッキリと視界が開けます。
まとめ
以上、おすすめジャズ理論書を5冊ご紹介しました。
繰り返しになりますが、理論はプロの専売特許ではなく、むしろ経験不足な人や贅沢な練習ができない人にこそ有効だと実感しています。
もしご興味あれば入手してみてください!