大学進学を機に、ジャズ研究会(以下、ジャズ研)に入会しました。
ジャズ研に入って良かったことは次の点。
- 定期的にライブやセッションの機会がある
- 練習場所として音楽練習場を自由に使える
- 初心者が多く、自分と同じ目線で話せるメンバーがいる
今思い返すと、この環境は本当に恵まれていたと思います。特に、初心者のメンバーが多かったことで安心感があり、演奏が拙くても批判されることはありませんでした。下手でも挑戦しやすい環境でセッションやライブに参加できたことは、本当に貴重な経験でした。
一方で、肝心のジャズの奏法を教えてもらえる機会はほとんどなく、演奏スキルを伸ばすためには自身の努力が求められる環境でした。
初めてジャズ研の部室に行った日のことは、なんとなく覚えています。
部室に入ると、タバコの煙が充満していて、コンポからは爆音でサックス(多分コルトレーン)が流れていて、部屋の隅の汚れたソファに、少し不健康そうな先輩が横になっていて…全体的に、第一印象は怖かったですね。
思い切って「入会しようと思ってきたんですけど…」と話しかけてみると、その先輩が急にニコッと笑って優しく対応してくれて。このギャップにホッとしました。
さて、ジャズ研に入ったものの、最初は何をしたらいいのか全然わからず、とりあえず毎週のミーティングに参加したり、部室に顔を出して先輩や新入生と話してみたりしました。
ジャズ研の新入生で特に多かったのは、吹奏楽部出身の人やクラシックピアノの経験者。ジャズ自体の経験者は少なかったですが、楽器経験者は多かったです。自分と同じく、体育会系の部活出身者もちらほら。いろんなバックグラウンドを持った人たちがいました。
自分はピアノを再開するのが10年ぶりくらいで、やっていけるのか不安でした。クラシック出身の人に「普段どんな練習してるの?」って聞いたら、「基礎練でハノンしてる」と言われて…いや、ハノンって何?ぐらいのレベル。
サックスを間近で見るのも初めてで、セッションを見学した時、「おお、これが生の音か」と感動したのを今でも覚えています。その時、セッションに参加している先輩たちはみんな神様のように見えました。
毎年8月には新入生お披露目ライブがあって、そこで初めて人前で演奏することになります。でも、それまで数回のバンド練があるぐらいで、後はほったらかし。
新入生は先輩を捕まえて教えてもらったり自分で音源を調べたり、暗中模索で進んでいました。
当然、入会して数ヶ月の新人が満足な演奏もできるわけなく、8月の新入生お披露目ライブでは、ほとんどの人が演奏の途中で止まったり、思うような結果を出せず、ズタボロになるのが恒例です(それはそれで貴重な経験ですが)。
毎年、そのイベントが終わると部員が激減。
社会人になった今でも、「ジャズ研にいたなんて羨ましい」と言われることがありますが、確かに環境面では恵まれていました。ただ、ジャズの奏法を教えてもらえる場所ではなかったので、演奏の難しさに挫折する人が続出するのが実態です。
最初は10人近くいた同級生のピアニストが、卒業前には私だけになっていました。