【ジャズピアノ初心者向け】コンピングの練習は良いお手本を聴くに限る

本記事は、Mark Levine著『The Jazz Piano Book』を参考にしています。

目次

コンピングはバンドを支える名脇役

日本人は「バッキング」の方が馴染みあるかもしれません。

コンピングもバッキングも意味は同じです。
欧米ではコンピングという呼び方が主流のようです。

サックスやトランペットなどのソリストの後ろで、ピアニストが演奏すること。

ピアノ以外にも、ギター、ベース、ドラムなどもコンピングします。

残念なことに適当にチャンチャカ弾いてると思われたりするんですが、非常に重要な役割があります。

コンピングの役割は、ソロイストをハーモニー的およびリズム的に刺激したり、ターンアラウンドやブリッジなどを強調したりすることによって、曲のフォームを明確にすることであり、そしてソリストの音楽的な努力を可能な限りの方法で、またあらゆる領域において際立たせ、引き立てることです。

引用:Mark Levine著『The Jazz Piano Book』

小難しいカタカナ単語は一旦置いといて、いわばコンピングの役割は名脇役

ソリストを引き立てたりバンド全体のバランス調整もする。

これが地味にかなり難しい。目立ちすぎても臆病に弾きすぎてもダメ。

出すぎたコンピングと遠慮がちなコンピングの中間を見つけ、バランスよく弾けるようになるまで練習がいります。

初心者にありがちなコンピング

これは初心者によくあるコンピングですが、

  • ソリストのアドリブは無視して全コードをなぞるように弾く
  • ソリストのアドリブに反応して全てオウム返しする
  • ソリストが変わったリズムを出すと過敏に反応する

要は、弾くことに一生懸命になりすぎるか、周りの音を聴くのに必死になり全てについていこうとするケース。

会話に例えると、相手を無視して喋り続けたり、過剰に相づちを打ってるような感じ。

もちろん正解はないのですが、ソリストを引き立てる、バンド全体への貢献を考えると、こればかりするのは良い選択肢でないと思います。

意地悪(?)なソリストならアドリブを止めちゃう場合も。まずは、ソリストの演奏を注意深く聴くこと。

しかし言うは易く行うは難し。慣れない内は、自分が上手くコンピングできてるかどうかさえわからないんですよね。

コンピングのアプローチ(一例)

これは一例ですが、最初に練習する人が多いんじゃないでしょうか。

次のコードを、ビートの半拍手前で弾く
Red Garlandのコンピング・スタイルが有名です。

これを安定的に弾けるようになると、バンド全体の推進力に貢献できます
ただ、譜面に書くとこんな感じですよ、というイメージなだけです。実際は音源のニュアンスを確認する必要があります。

画像
B♭循環進行のコンピング例
次のコードをビートの半拍手前で弾く

一方で、多くの初心者にある傾向はビートより遅くれて弾くことです。

画像
コードを半拍遅らせて、1拍目と3泊目のウラで演奏

これは悪いことじゃないんですが、やりすぎるとテンポがもたついて遅くなります。あと、よっぽど上手く使わないと単純に素人くさくなります

コンピングの練習は良いお手本を聴くに限る

様々なスタイルから好みを見つける

コンピングの練習は、体育会系的になりますが、繰り返し良いお手本を聴いて感覚を身に沁みさせるしかない…

特にWynton Kellyはコンピングの名手です。

画像

“Wynton Kellyは、不滅のナンバー・ワンです。彼は驚くほどに軽やかなフィーリングをもち、そして、その場所にあったハーモニーを絶妙のタイミングで演奏しました。”

引用:Mark Levine著『The Jazz Piano Book』

Miles Davisの名盤。Wynton Kellyがバックで弾いてます↓

その他、良いお手本は、

  • Mccoy Tyener
  • Chick Corea
  • Barry Harris
  • Hank Jones
  • Kenny Barron
  • Tommy Flanagan
  • Mulgrew Miller

などなど。

それぞれが独自のコンピング・スタイルで音楽を提示しているので、好みを見つけたら繰り返し聴く。

まずは、どの高さの鍵盤でどんなボイシングをしているか、ソリストにどう反応してるか、などを掴んでいきましょう。

【必聴】Mulgrew Millerのレッスン動画

Mulgrew Millerがコンピングのレッスンをしている神動画がありました。
ぜひご覧ください。Fブルースの参考演奏です。

コンピングだけで凄まじいグルーヴ感だ…

リズム中心の話になりましたが、ハーモニーの問題など突き詰めるとキリがないコンピング。

さらに深く知りたい方は『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』で詳しく解説されているので読んで頂きたいです。ベースソロ中のコンピングの話なんかも参考になります。

マーク・レヴィンの書籍の有用さは世界的に支持されていて、手元に置いておけば役立つ場面が多いのです。

見たことないよって人はこの機会にチェックしてみてください。

こちらの記事でも紹介しています。本記事では他にもジャズに関する有用な書籍を紹介してるので、ご興味あればぜひご覧ください↓↓

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事をシェアする
目次