Giant Stepsはこんな曲
- ジョン・コルトレーンの1959年のアルバム「Giant Steps」収録曲。ジャズ史において転換点となる作品
- 上記の初録音に参加したピアニストのトミー・フラナガンは、初見であまりの難しさに面食らっている(諦めている)ように聴こえる
- コルトレーン・チェンジと呼ばれる複雑な和声進行で、演奏者に試練を強いるナンバーとして名を轟かせた
聴いておきたいテイク/ピアニスト編
Giant Steps/Tommy Flanagan
Tommy Flanagan (p)
George Mraz (b)
Al Foster (ds)
1982年
これは戸惑っていないトミー・フラナガンの演奏。後述のGiant Steps/John Coltraneのリベンジとも言われる。ぜひ聴き比べてみてください。
Here’s Jaki/Jaki Byard
Jaki Byard(p)
Ron Carter (b)
Roy Haynes (ds)
1961年
テッド・ジョイア著『ジャズ・スタンダード』によると、Giant Stepを初めてカバーしたのが、ジャッキー・バイアードらしい。音源ではいろいろ実験しているように聴こえる。
聴いておきたいテイク/ピアニスト以外編
Giant Steps/John Coltrane
John Coltrane (ts)
Tommy Flanagan (pf)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (ds)
1959年
原点。音を敷き詰めるようなコルトレーンの演奏は”シーツ・オブ・サウンド”と呼ばれ、ジャズの進化を促した一枚。トミー・フラナガンが「えっ…!?え?」と戸惑ってるように聴こえる。
Images/Toots Thielemans
Toots Thielemans (hca)
Joanne Brackeen(p)
1974年
1970年代のライブから選曲したアルバムより。クロマチック・ハーモニカのトゥーツ・シールマンズもさることながら、ジョアン・ブラッキーンの伴奏もすばらしい。
Pursuance:The Music of John Coltrane/ Kenny Garrett
Kenny Garrett (as)
Nat Reeves (b)
Jeff “Tain” Watts (ds)
1996年
ケニー・ギャレットがジョン・コルトレーンに敬意を表し、新たな解釈で名曲を演奏。
激ムズGiant Stepsの演奏面のポイント
はっきり言って、セッションでコールする人をほとんど見たことがありません。逆に、コールしても断られる可能性もあります。
それほど(ちゃんと演奏しようと思うと)難易度が高いのですが、登場するコード自体は少ないので流れを身に沁み込ませればなんとかなるかもしれません(?)
書籍や専門書から得られたポイントをまとめると以下の通り。
- 1小節に2コード。各コード8分音符4つで的確に表現する。
- 各コードの共通音が少ないため、長く伸ばす音を使いにくい→必然的に8分音符の連続、アルペジオが有力な選択肢となる。
- コードの1,2,3,5度を使う。
- ただし、①~③だけではフレーズのアイディアがすぐに尽きてしまったり、ペンタトニックの練習のような単調なソロになる可能性がある。各コーラスごとの音数のバランスも考慮する必要があり。
ちなみに、コルトレーンはペンタトニック・スケールを基調としたモチーフを連続してアドリブしています。上述のアイディアもその考え方がベース。
もちろん、この考え方に縛られる必要はないので、まずは手を動かしてコード進行に慣れることが大切だと思います。