コードを見てパッと構成音が思い浮かびますか?
ジャズピアノ初心者が最初に立ちはだかる壁が、コードの構成音を覚えること。
しかし、ただ単に暗記するだけでは本番で役立ちません。
おすすめするのは、文脈の中でコード構成音を覚えることです。
例えば、ジャズで頻繁に使われるⅡm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行(ツー・ファイブ・ワン)に当てはめた練習を繰り返し行うことで、スムーズなコードチェンジやアドリブに役立てられます。
この記事では、その基本となる3音ボイシングをご紹介します。
これを頭に叩き込んでおけば、ジャズらしいボイシングやアドリブへの応用力が高まります。
以下、その練習方法です。3音ボイシングを12keyでまとめた譜面もダウンロードできるので、よければご参考にしてください。
コードの構成音の中で重要な音
7thコードなどの4和音を前提として話します。
コードの構成音の中で、重要な3つの音があります。それが、
- ルート
- 3rd
- 7th
ジャズピアノを勉強中の方は、テンションの一種である9thや13thを含めた洗練されたボイシングに憧れるかもしれません。
しかし、そのような複雑なボイシングを習得する前に、まずは基本的な3音(ルート、3rd、7th)をしっかりと理解し、弾けるようにすることが重要です。
(複雑なボイシングを習得してから、3rdと7thを把握していくという考え方もあるけど難易度が高い)
これらの3音を使用したボイシングは「3音ボイシング」と呼ばれます。
特に3rdと7thは、コードの響き(メジャー、マイナーなど)を決定する上で重要な役割を果たすため、その音を正確に捉える必要があります。
3音ボイシングをコードを見ただけで瞬時に弾けるようになると、将来的に複雑なボイシングや理論を習得する際に大きな助けになります。
3音ボイシングの練習方法
3音ボイシングを創る方法は、大部分のコードの最も重要な3つの音を、左手によるルート、右手による3rdと7thと、音数を減らすことです。3音ボイシングを使うと、ジャズ・ハーモニーのベーシックな進行であるⅡ-Ⅴ-Ⅰを最大限に滑らかに、さらによいボイス・リーディングで弾くことができます。
マーク・レヴィン著『最新版 ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』
Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行に従って、音の響き方や指の位置を確認しながら弾きます。
例えば、CキーのⅡm7コードはDm7なので、左手でルート(D)を弾き、右手で3rd(F)と7th(C)を弾きます。
次のⅤ7も同じように弾きますが、3rdと7thの位置は前のⅡm7で弾いた3rdと7thの位置から近い場所を選びます。
このようにⅡm7-Ⅴ7-ⅠΔを順番に演奏すると、3rdと7thがスムーズに動くことがわかります(下図)。
これが優れたボイスリーディング(音の動き)になっていて、少ない指の動きで滑らかなサウンドを実現できます。
Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行は非常に理にかなった音の流れになっているんです。
そしてこれを12keyで練習していきます。
↓12keyの譜面(PDFダウンロード可能)
3音ボイシングには、3rdと7thが上下反対のバージョンがあります。
便宜上、それぞれポジションAとBと呼びます(公式的なポジション名ではありません)。
練習する順番は、五度圏を反時計回りに進むC→F→B♭などの2-5-1進行に従います。これは実際の演奏状況に近いためです。
譜面を左上から左下へ、左下(D♭キー)まで到達したら、右上から右下に進むと5度圏の反時計回り順になります。
ここで大きな壁にぶち当たります。
この練習つまらん!
3音ボイシングの価値は、練習の継続で初めて理解できる
3音ボイシングは、初めは意義がわからず機械的な練習になってしまいます。ただ、後からいろいろな応用を効かせる時に初めてその価値が理解できると思います。
最初は退屈に感じるかもしれませんが、習得しておくと洗練されたボイシングやアドリブにも応用できるようになるんです。
慣れてきたら、簡単なスタンダード曲のコード進行で練習してみてください。例えば「Just Friends」が適度にコードチェンジがあり、ほどよい難易度なのでおすすめです。
もちろん、スタンダード曲は全てがⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行で構成されてる訳じゃないので、ここはどうやって弾くんだ?と疑問が出てくると思います。そこからが沼の始まりかもしれません…
3音ボイシングは『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』で詳しく解説されています。マーク・レヴィンの書籍の有用さは世界的に支持されていて、手元に置いておけば役立つ場面が多いです。見たことないよって人はこの機会にチェックしてみてください。
他の記事でもジャズに関する有用な書籍を紹介してるので、ご興味あればぜひご覧ください↓↓