【ジャズピアノ初心者向け】基本のレフトハンド・ボイシング【12key譜ダウンロード可能】

本記事はMark Levineの名著『The Jazz Piano Book』を参考にしています。

レフトハンド・ボイシングはジャズピアノの演奏に欠かせません。右手でアドリブを弾き、ハーモニーを支えるための技術です。

記事内ではレフトハンド・ボイシングの12keyをまとめた譜面をダウンロードできます。よければご参考にしてください。

すぐダウンロードしたい方はこちら

目次

レフトハンド・ボイシングで右手を解放しハーモニーの幅を広げる

ジャズピアノを弾くとき、大抵の場合はメロディやアドリブを右手で弾きます

じゃあ左手はどうするか?アプローチの一つが、レフトハンド・ヴォイシングです。

レフトハンド・ボイシング
もともとRed Garlandによって弾かれ、その後Bill Evance、Wynton Kellyなどのピアニストによって発展した、左手によるルート抜きのボイシング

Mark Levine著『The Jazz Piano Book』

レフトハンド・ボイシングの役割は、大きく3点あります。

レフトハンド・ボイシングの役割
  • 右手が解放され、自由にメロディやアドリブが弾けるようになる
  • アドリブやメロディのデッド・スポットを補う
  • メロディやアドリブに対し、ハーモニーやリズムを補ったり支えたりする

このボイシングは、3音ボイシングの発展。3音ボイシングではコードの構成音に含まれる音(ルート、3rd、7th)を左右の手で押さえます。

一方、レフトハンド・ヴォイシングでは左手だけで、コードの構成音に含まれない「テンション・ノート」も含めて弾きます。例えば9thや13th。

9thや13thも弾いたら指の数が足らないのでは?となります。ここで最も低音のルートを省きます。

いわゆる、ルートレス・ボイシングです。レフトハンド・ボイシングでは、ルートを除いた和音を弾くスタイルが多いです。

レフトハンド・ボイシングの例
各和音の右側の数字は度数

誤解なきように言うと、ルートを含める選択肢もあります。ジャズ史の過程で、ルートレスのレフトハンド・ボイシングも頻繁に演奏されるようになってきました。以下、引用文。

1950年代半ばには、Red Garlandもレフトハンド・ヴォイシングをよく弾くようになりました。Bill EvansやWynton Kellyは、その後それをさらに発展させ、1950年代後半には頻繁に演奏するようになりました。それ以前は、ほとんどのビバップ・ピアニストたちはBud Powellを追いかけて、2音または3音のルート・ポジション・ヴォイシングを弾いていました。

Mark Levine著『The Jazz Piano Book』Chapter7 レフトハンド・ヴォイシングより

ルートレスにすると、小指がルートを弾かずに済むので左手の自由度が高まります。すると、9thや13thを含むコードを弾くことができます。

一旦、コードにルートが欠けていることを気にする必要はありません。演奏する際はベーシストがルートを弾くと想定します。ベーシストがいない場合でも、ルートレス・ボイシングを使うこともあります。

まずはⅡm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行で基本形を覚える

ここで、基本のレフトハンド・ボイシングをⅡm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行に落とし込んだ譜面のPDFをアップロードしました。

自由にダウンロードして頂けます。

何の音がどう動いているか。シンプルに言うと、

  • Aポジションでは、小指で弾く音が3rd、7th、3rdの順に進む
  • Bポジションでは、小指で弾く音が7th、3rd、7thの順に進む

となっています。

ルート・3rd・7thに加え、9thや13thなどのコードの構成音に含まれない「テンション・ノート」も含めて弾きます。

さて、一覧にしたものの、実際の演奏で全KeyのABポジションをまんべんなく使用するかというと、そうでもありません。

例えば、特定のkeyやポジションによっては低すぎて音が濁る、高すぎて右手とぶつかる、ということが起こります

そうすると、おのずと選択肢が絞られてきます(もちろん、全key全ポジションをパっと弾けることが理想)

この辺は、実際に鍵盤を触って確認したり、メロディと同時に弾いてみて自分なりに発見していくことが必要かと思います。

ルートレスなのでサウンドに違和感を覚えるかもしれません。その場合は、レフトハンド・ボイシングを右手で弾き、左手でルートを弾いてみてください。

そうすると、安定したサウンドが得られることが分かると思います。ボーカリストの伴奏やベーシストがいない編成の時に行う奏法でもあります。

目指すべきは、コードを見た瞬間に思考を介さず弾けること

レフトハンド・ボイシングは、最終的にはコードを見た瞬間に何も考えずに弾けるレベルが理想です。というか、ジャズピアノを演奏するにはそのレベルに達しないと難しいです(特に速いテンポの曲)

じっくり手書きしたり、繰り返し弾いたり、Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行を持つジャズスタンダードで弾いてみたりしながら覚えましょう。

なお、今回紹介したレフトハンド・ボイシングはあくまでも基本形です。Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行に限定し、テンション・ノートの選択肢も9thと13thしか使っていません。

ただ、この基本形をマスターすれば応用できる範囲がぐんと広まります。マイナー系のⅡm7(-5)-Ⅴ7-Ⅰm進行や、メロディや曲との兼ね合いなど、応用範囲は果てしないです。また別の機会に書きたいと思います。

最後に、レフトハンド・ボイシングの役割を再掲して終わりたいと思います。

レフトハンド・ボイシングの役割
  • 右手が解放され、自由にメロディやアドリブが弾けるようになる
  • アドリブやメロディのデッド・スポットを補う
  • メロディやアドリブに対し、ハーモニーやリズムを補ったり支えたりする

レフトハンド・ボイシングは『ザ・ジャズ・ピアノ・ブック』で詳しく解説されています。マーク・レヴィンの書籍の有用さは世界的に支持されていて、手元に置いておけば役立つ場面が多いです。見たことないよって人はこの機会にチェックしてみてください。

他の記事でもジャズに関する有用な書籍を紹介してるので、ご興味あればぜひご覧ください↓↓

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