ボイシングとは、コードの音をどう配置するかということです。
初めてジャズピアノを聴いたとき、「なんだこのサウンドは」と思った記憶があります。同じコードでも、音の積み方次第でまるで違う響きになる。その正体がボイシングでした。
いざ自分で弾こうとすると、どの音を選べばいいのか、どう配置すればいいのかがわからず、かなり苦労しました。この記事では、その基本となる考え方と種類を整理します。
理屈は後からついてきた
私はボイシングを「頭で理解してから弾けるようになった」タイプではありません。
教本の譜面を弾いたり、好きなピアニストをコピーしたりするうちに、手がボイシングの形に慣れて、後から理屈が見えてきた順序でした。形から入って理屈は後から、という人は多いと思います。
この記事も、自分なりに後から整理したノートのような位置づけです。参考程度に読んでいただけたら嬉しいです。
基本のボイシング
音域が1オクターブ以内に収まるものをクローズド・ボイシング、1オクターブを超えるものをオープン・ボイシングとして分類しています。
クローズド
ガイドトーン・ボイシング

3度と7度の2音だけで構成。シンプルながらコードの響きを的確に伝える。多くのボイシングの基礎になる。
クローズド オープン
バド・パウエル・ボイシング(シェル・ボイシング)

1度・3度(・7度)で構成。配置によってクローズドにもオープンにもなる。即戦力になるシンプルなボイシング。
クローズド
レフトハンド・ボイシング


3度・7度・テンションで構成するルートレスのボイシング。ベーシストがいるセッションでよく使われる。
オープン
スプレッド・ボイシング


1度・3度・7度・テンションを広げて配置。音域が1オクターブを超える。ソロピアノで豊かな響きを出せる。
最初に覚えたいのはこの2つ
ベーシストがいるセッションを前提とすれば、ルートレスのボイシングが有効です。ベースがルートを担当するため、ピアノはテンションなど他の音を加える自由度が上がります。
この記事で紹介した中で、ルートレスに該当するのはガイドトーン・ボイシングとレフトハンド・ボイシングです。
まず優先したいのはガイドトーンです。コードの3rdと7thだけで構成されるシンプルな形ですが、ほとんどのボイシングの土台になります。ここに慣れることが、多くのボイシングを習得する近道です。
次にレフトハンド・ボイシング(4音)です。ガイドトーンにテンションを加えた形で、最初から4音の指遣いに慣れておくと、3音も自然に弾けるようになります。後々アドリブを学ぶ際にも役立ちます。
参考書籍
ボイシングを体系的に学びたくなったとき、一番役に立ったのがフィリップ・メールケ著『ジャズ・ピアニストのためのコード・ヴォイシング・ワークブック』です。

和訳に少しクセがあるので読みにくい部分もありますが、CDと課題が付いていて手を動かしながら学べます。ボイシングの入門書としておすすめできる一冊です。
マーク・レヴィンの『The Jazz Piano Book』や『The Jazz Theory』もボイシングを扱っていますが、ルートレスかつテンションを含む4音ボイシングが前提になっています。
ある程度コードに慣れた中級者以上向けの印象です。コードの知識がない段階では少し難しいかもしれません。
まとめ
ボイシングは慣れるまでが大変ですが、指の形が手に馴染んでくると、自分でジャズらしいサウンドが出せるようになってきます。
その感覚が出てきたら、少しずつ楽しくなってくると思います。


