【ジャズピアノ】インターバルの理解は情景描写を上達させる

前回の続きです。

目次

インターバルで情景・心理描写ができる

インターバル(音程)には各音程独自の性質やカラーがあります。

音程の持つ性質やカラーを利用してメロディやハーモニーを作れば、情景描写や心理描写を狙ってできるようになります。

インターバルは使い方次第で人に与える印象が変わるので、特に作曲に取り組む方には重要なポイント。もちろんアドリブにも役立ちます。

ここで、インターバルの一覧を再掲します。

画像

それぞれ音の響きの違いがわかるでしょうか。違いがわかったとしても、それをどのように描写、言語化するか?というのは難しいかもしれません。

ここで参考になるのが『Jazz Standard Analyze』です。

ジャズスタンダード曲が生み出す情感のしくみ等を分析する本で、インターバル(音程)について細かく言及しています。

画像
矢萩秀明著『Jazz Standard Analyze』より

一部、インターバルから感じ取れる感覚について本から抜粋します。これは重要なことですが、あくまでも著者(矢萩さん)の主観で絶対的なものではありません。しかし、音程の性質を理解する上で参考になります。

短2度
ため息。大きな悲しみ。小さな歩幅の一歩
長2度
小さな確度の昇りまたは下り。前進または後退。明るさ。波。普通の歩幅の1歩
短3度
悲しみ。小さな悲しみ。夜。美しさ。落胆。深刻さ。弱さ。
長3度
明るさ。昼。希望。大きな歩幅の1歩。美しさ。弱さ
完全4度
祈り。神秘的。中性的。力強さ。
増4度・減5度
不安。不満。不気味さ。恐怖。悪い予感。

矢萩秀明著『Jazz Standard Analyze』より抜粋

これらの表現をどう感じるでしょうか?個人的には、共感できる感情が多いです。

こんな形で、『Jazz Standard Analyze』では豊富な譜例を交えながら解説されています。ご興味ある方はぜひ入手してみてください。

3和音でサウンドの印象を確かめる

インターバルを3度を組み合わせるとトライアド(3和音)が構成されます。

合体させたそれぞれ音の間隔の違いによってトライアドは4種類できあがります。4種類のそれぞれの響きは、人に与える印象が異なります。

メジャーは明るい、マイナーは暗い、と表現されるのを聞いたことありませんか?それはインターバルの違いが印象の違いを生み出しているからです。

次の表は、4種類のトライアドとそのサウンドの特徴。もしピアノがあれば、実際に弾いて響きの違いを感じてみてください。

画像
Mark Levine『The Jazz Theory』
Fig.1-6より一部改変
サウンドの印象は同著より

ちなみにトライアドの語源は「tri(3 つの)」。同じ語源の「トリオ(3人組)」は聞き馴染みあると思います。

トライアドの転回形を弾けるようにする

トライアドでは、様々な状況でルート以外の音が一番下にくることがあります。

いわゆる転回形ルート以外の音が再低音になっている和音のことです。

ピアノ鍵盤のオクターブの位置によっては、転回形を使用することは頻繁にあります。

例えば、3和音であれば、次の3種類。

3和音の転回形の種類
  1. ルートが最低音になる基本形
  2. 3rdが最低音になる第1転回形
  3. 5thが再低音になる第2転回形
画像

ピアニストは、4種類のトライアドをすべてのキーですべての転回系を弾けることが理想です。

これを習得すると、コード構成音を覚えることや、ジャズの基本的なコード進行であるⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行の習得も一層はかどります。

関連記事も書いていますので、ご興味ある方はぜひご覧ください↓

参考書籍

インターバルについては、Mark Levine著『The Jazz Theory』で詳しく解説されています。本書は世界的に支持されていて、手元に置いておけば役立つ場面が多いです。

インターバルが生み出す情感などについて詳しく知りたい方は、この本がオススメ。ジャズセッションでよくやる曲も多く取り上げられてます(枯葉、酒バラなど)。この類の本では割と手頃な価格。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事をシェアする
目次