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トライトーン・サブスティテューション|ジャズの定番リハモ手法

リハモのひとつ、トライトーン・サブスティテューション(裏コード)について書きます。

個人的には、リハモしようと思ったときに最初に思いつく手法です。王道の手法で、知っているか知らないかでアドリブ等の応用力にかなり差がつくと思います。

わかった瞬間にコードの見え方が急に変わる感覚がありました。

目次

トライトーン・サブスティテューションとは

リハモとは「リハーモナイゼーション」の略で、既存のコード進行を変えてサウンドの雰囲気を変えることです。

トライトーン・サブスティテューションは代理コードの一種です。「代理」とは、楽譜に書かれているコードの代わりに使えるということです。

代理コードにはいくつかの種類がありますが、その中でも一般的なのがトライトーン・サブスティテューションです。トライトーンを代理(サブスティテュート)しているのでこう呼ばれています。

トライトーンとは、ドミナント7thコードにおける3rdと7thの2音のこと。C7であれば、EとB♭です。

3rdと7thの2音を弾くだけでドミナント7thコードがもつ特徴的なサウンドになるため、3rdと7thが共通しているドミナント7thコードは機能が近く互いに代理し合えます。

一気にややこしい雰囲気になりましたが、とりあえず3rdと7thが重要だと言いたいのです。

実例で聴いてみる

一旦、理屈は置いといて実際にジャズセッションで頻出する曲でリハモ例を見ていきます。

All The Things You Areで比較

次の図は、All The Things You Areをトライトーンサブスティテューションでリハモした例です。

A:通常のテーマ最初の4小節
B:3小節目をリハモしたもの

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再生ボタンを押すとA→Bの順に音声が流れます。

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All The Things You Are リハモ例
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AとBのサウンドの違いが聴き取れたでしょうか。こんなに変えてしまっていいの?と思われるかもしれませんが、これがトライトーン・サブスティテューションのサウンドです。

Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ進行で比較

次の図は最もシンプルなリハモ例です。
CキーのⅡm7-Ⅴ7-ⅠΔ進行で3音ボイシングをした時の、トライトーン・サブスティテューション。

A:Ⅱm7-Ⅴ7-ⅠΔ
B:Ⅱm7-Ⅱ♭7-ⅠΔ Ⅴ7の代わりにⅡ♭7を使用

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再生ボタンを押すと、A→Bの順に音声が流れます。

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CキーのⅡ-Ⅴ-Ⅰ進行におけるリハモ例
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G7の3rdと7thであるBとF音は、D♭7の3rdと7thであるFとC♭音と同じです。つまり、G7とD♭7はトライトーンが共通するドミナント7thコードなので、互いに代理し合えます。

パターンABで右手の動きは全く変わらず、ベースラインだけが変わります。

ちなみにG7を代理することで滑らかなベースライン(D→D♭→C)ができるため、ベーシストもこの代理コードを好んで使うことが多いです。

All The Things You Areで比較(応用)

もう一度All The Things You Areの例を見直してみます。

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All The Things You Are リハモ例
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最初の例に含まれているリハモは2段階に分かれています。

  • E♭7の代わりにA7を使用(トライトーン・サブスティテューション)
  • A7をEm7-A7に分解

E♭7とA7はトライトーンが共通しているため、代理し合える関係にあります。両者ともに、3rdと7thにGとC♯音を持っています。

ここで、パターンBがA7じゃなくてEm7-A7になってるけど?と疑問を持たれると思います。

パターンBがA7ではなくEm7-A7になっているのは、トライトーン・サブスティテューションにⅡm7を加えているからです。E♭7の代わりにA7を使い、さらにその前にEm7を置くことでⅡm7-Ⅴ7進行(Em7-A7)を作り、新しいサウンドを提示しています。

このようなⅤ7をⅡm7-Ⅴ7に分解する手法は初期のビバップミュージシャンが多く取り入れていて、アドリブの中でこうしたリハモをすることは頻繁にあります。

覚え方|五度圏の対角線上が裏コード

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五度圏

五度圏を使って覚えます。五度圏の対角線上にあるKeyのドミナント7thコードが、トライトーン・サブスティテューションとなるコードです。

例えばGの対角線上はD♭なので、G7とD♭7はトライトーン・サブスティテューションの関係にあります。この「表裏の関係」から、トライトーン・サブスティテューションは俗に「裏コード」とも呼ばれたりします。

良い点と注意点

リハモをすると、アドリブでリハモ後のコードに基づいたスケールやノンダイアトニックな音を使えるので、アウト感を出せるのがいいところです。

ただし使い過ぎると、メロディやハーモニーとベースラインが衝突して不自然なサウンドになることがあります。バンド演奏では特に、全体のバランスを見ながら使わないと独りよがりになりやすいです。

まとめ

トライトーン・サブスティテューションを使うと、メロディの緊張感が変化したり、クロマチックで滑らかなベースラインが作れたりします。古いスタンダードをよりモダンなサウンドに変えることもできます。

リハモの中では比較的わかりやすい手法なので、コードの勉強をしていれば感覚は身についてくると思います。

もっと知りたい方へ

この記事で紹介したトライトーン・サブスティテューションは、Mark Levine著『The Jazz Piano Book』で詳しく解説されています。理論をより体系的に学びたい方にはおすすめの一冊です。

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